検査III-1 スピードコンジェニック

標準法で3年~5年の歳月が必要となるコンジェニック系統の樹立が、スピードコンジェニック法では毎世代マイクロサテライト (STR) マーカーを用いてレシピエント系統への遺伝子置換をモニターするため、系統樹立までの時間が約2倍スピードアップします。

スピードコンジェニック法を用いることによって・・・

① 飼育の負担が軽減

② 迅速な系統樹立が可能

③ 目的遺伝子のおおよその位置も把握できる

原理

 

レシピエント系統のゲノム伝達率比較 (理論値)各世代においてSTRマーカーを用いてレシピエントのゲノムがどの程度伝達されたかをスクリーニングします。
レシピエント系統の遺伝子型をより多く持つ個体を選抜し次世代への交配に用いることにより、理論上ではN5世代で標準法のN10世代に相当する個体が得られます (図1および2) 。

レシピエント系統のゲノム伝達率比較 (理論値)

引用文献:Wakeland E et al, Speed congenics: a classic technique in the fast lane. Immunology Today, 18:472-477 (1997).

・検査の流れ

① 目的遺伝子を保持する検体を用意*1,2
② (初回のみ) ドナーおよびレシピエントの検体を用意*3

  サンプル送付

③ サンプルのDNA調整
④ コンジェニックマウスごとに設定したSTRマーカーの遺伝子型タイピング
⑤ レシピエント系統の遺伝背景の置き換わりを解析

  ご報告

⑥ レシピエント系統の遺伝背景が最も多い個体を用いて次世代を得る

 

上記の操作をN4もしくはN5世代まで繰り返し行います。

 

よくあるご質問

Q. 検体はどれくらい用意すればよいのでしょうか?
A. 検査は1検体からでも受け付けておりますが、解析検体数が少ないと遺伝背景の置き換えにより多くの世代を要する場合があります(図2をご参照ください) 。通常N2世代で15~20検体程度を検査し、世代を追うごとに検体数を減らしていくことを推奨します。

Q. 検査に出す検体はオス、メスのどちらがいいですか?
A. 検体の性別はどちらでも構いませんが、次世代を多く得る事ができるためオスを用いるのが一般的です。

Q. Reference検査とは何でしょうか?
A. 検査の精度をより高めるためにも、ドナーおよびレシピエント、F1個体のDNAまたは組織をお送り頂き遺伝背景の比較の行います(初回の検査のみ)。検体をお持ちでない場合は、弊所で保有しておりますデータとの比較になりますが、同じ系統でありましても、ブリーダーの違いや自家繁殖、ES細胞の種類等によりまして異なる遺伝背景を示す可能性がある事をご承知頂いております。

Q. 必ず毎世代ごとに検査を行うのでしょうか?
A. いいえ。検査は世代ごとにご依頼→検査→報告→検査終了となりますので、お客様の御都合にあわせてご選択ください。

Q. すでに複数回バッククロスをしている動物がいるのですが?
A. 一度、検査IV-1の遺伝プロファイルを作成することをおすすめします。予想される系統と異なる遺伝子型を示したマーカーのみ次の世代で検査を行います。

・対象マウスおよび解析マーカー数

(C57BL/6, 129), (C57BL/6, NOD) コンジェニックマウスなど多くの系統の検査が可能です。
お気軽にお問い合わせください。

系統1 系統2 マーカー数*
C57BL/6 129 64
BALB/c 80
C3H/He 80
DBA/1N 74
FVB/N 76
NOD/Shi, NOG 64
BALB/c 129 77
NOD/Shi, NOG 64

 

*:検査マーカー数は変更になる場合がございます
ラットの検査についても受け付けております。 検査が可能な系統についてはお問い合わせください。

・価格

  1 PCRあたりの
検査費用 (円)
(参考)64マーカー,
1 検体の検査費用 (円)
定価 800(税込880) 51,200(税込56,320)
維持会員 700(税込770) 44,800(税込49,280)
アカデミア 600(税込660) 38,400(税込42,240)
リファレンス検体 300(税込330) 19,200(税込21,120)

 

例: 12検体を64マーカーで検査した場合 (定価)
 12検体×64マーカー=768 PCR
 768 PCR×700円=537,600円+消費税

1. 検査の申し込み

検査依頼書 (Excel, PDF) に必要事項をご記入の上、FAX (044-201-8526) またはe-mailに添付してお申し込みください。

2. 検体の送付

<検体がDNAの場合>

ゲノムDNAを濃度10 ng/µL以上のものを200 µL 冷蔵でお送り下さい。
乾燥状態の場合は2 µg以上を室温でお送り下さい。

<検体が組織の場合>

採取した組織 (尾、耳片等) を個体毎に保存容器に入れ、冷凍でお送り下さい。
採取する量は、尾の場合は1 cm程度、耳片は5 mm角程度を目安として下さい。

3. 検体の送付先

〒210-0821 川崎市川崎区殿町3丁目25番12
公益財団法人 実中研
ICLAS モニタリングセンター 遺伝検査室
Tel: 044-201-8525

4. 検査期間 (結果ご報告までの目安)

約2~3週間
☆検体数、混雑状況によって変動があります。詳しくはお問い合わせ下さい。

5. 検査結果の報告形式

各検体の遺伝背景とレシピエント系統のゲノムの伝達率を算出し、一覧表にして書面でご報告申し上げます。

6. お支払いについて

検査結果表とともにご請求書をお送りいたします。
ご請求書にはお振込先が明記してございます。
ご依頼者様とお支払先が異なる場合も対応させていただきますので、その際にはご要望事項欄に次の4点をお書きください。
1. ご請求先宛名、2. ご請求先住所、3. ご担当者様お名前、4. ご担当者様ご連絡先