謹啓
初夏の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
当ICLASモニタリングセンターでは、実験動物の微生物検査に下記病原体 (10種) をオプション項目に加え、検査受託を開始いたしましたのでご案内いたします。
検査項目: Corynebacterium bovis
対象動物種: マウス、ラット
検査方法: 培養検査
サンプル: 生体 (マウス、ラット) または皮膚スワブ
検査費用 (税別) : 2,000円 (※)
・Corynebacterium bovis は、微生物カテゴリーDに分類され、ヘアレス、そしてnude、SCID等の免疫不全マウス・ラットにフケ(鱗屑)を伴った皮膚炎を起こすことが知られております。検査法は皮膚スワブの培養検査です。
検査項目: Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae
対象動物種: マウス、ラット
検査方法: 培養検査
サンプル: 生体 (マウス、ラット) または盲腸内容物、新鮮糞便
検査費用 (税別) : 2,000円 (※)
・Klebsiella oxytoca ならびにKlebsiella pneumoniae は、腸内細菌科に属する非病原性細菌です。微生物カテゴリーDに分類されますが、これらが起因で病原性を示すことはないと考えられております。動物の輸出入の際、この検査項目が必要とされる場合がございます。検査法は盲腸内容物もしくは新鮮糞便からの培養検査です。
検査項目: Pasteurellaceae
対象動物種: マウス、ラット
検査方法: 培養検査
サンプル: 生体 (マウス、ラット)
検査費用 (税別) : 2,000円 (※)
・Pasteurellaceae は、実験動物 (マウス・ラット) の微生物検査項目において、Pasteurella pneumotropica 以外にActinobacillus muris、Haemophilus influenzae-murium 等、げっ歯類由来のパスツレラ科、ならびにPasteurella multocida を含みます。動物の輸出入の際、この検査項目が必要とされる場合がございます。検査法は呼吸器からの培養検査です。
検査項目: Streptobacillus moniliformis
対象動物種: マウス、ラット
検査方法: 培養検査
サンプル: 生体 (マウス、ラット)
検査費用 (税別) : 2,000円 (※)
・Streptobacillus moniliformis は、元来、野生ラット (ドブネズミ) もしくはペット用ラットが保有しており、本菌の伝播様式は咬傷が主体であることから、実験動物 (マウス・ラット) の感染率は非常に低いと考えられております。感染ラットは無症状ですが、感染マウスでは敗血症を起こします (系統差あり) 。本菌は、感染ラットがヒトを咬むことにより、ヒトに致死的な感染症 (鼠咬症) を引き起こす人獣共通感染症病原体であるため、微生物カテゴリーAに分類されております。動物の輸出入の際、この検査項目が必要とされる場合がございます。検査法は唾液腺からの培養検査です (参考:Hayashimoto N., et al. 2008) 。
検査項目: β-hemolytic Streptococcus (BHS)
対象動物種: マウス、ラット
検査方法: 培養検査
サンプル: 生体 (マウス、ラット)
検査費用 (税別) : 2,000円 (※)
・β-hemolytic Streptococcus (β溶血性連鎖球菌) は、血液寒天培地上でβ溶血 (透明溶血環) を伴ってコロニーを形成する連鎖球菌群です。本菌群は、マウス・ラットに対して非病原性で、微生物カテゴリーDに分類されますが、モルモットに溶血性連鎖球菌病 (溶連菌病) を引き起こすStreptococcus zooepidemicus を含みます。また、動物の輸出入の際、この検査項目が必要とされる場合がございます。検査法は呼吸器からの培養検査です。
検査項目: マウス胸腺ウイルス (Mouse thymic virus:MTLV)
対象動物種: マウス
検査方法: 血清反応
サンプル:生体 (マウス) または血清
検査費用 (税別) : 2,000円 (※)
・マウス胸腺ウイルス (Mouse thymic virus:MTLV) は、マウスを自然宿主とするDNAウイルスです。微生物カテゴリーCに分類されますが、自然感染マウスでは無症状であり、感染率は非常に低いと考えられております。動物の輸出入の際、この検査項目が必要とされる場合がございます。検査法は血清反応です。
検査項目: マウスアストロウイルス (Murine astrovirus: MuAstV)
対象動物種: マウス
検査方法: PCR法
サンプル:生体 (マウス) または盲腸内容物、新鮮糞便
検査費用 (税別) : 4,000円 (※)
・マウスアストロウイルス (Murine astrovirus: MuAstV) は、最近マウスから見つけられたウイルスです。マウスに対して非病原性であると考えられております。微生物カテゴリーCに分類され、検査法は盲腸内容物もしくは新鮮糞便からのPCR法検査です。
検査項目: Encephalitozoon cuniculi
対象動物種: マウス、ラット、ウサギ、モルモット
検査方法: 病理組織学的検査
サンプル:生体 (マウス、ラット、ウサギ) または腎臓 (ホルマリン液浸漬)
検査費用 (税別) : 3,000円 (※)
・Encephalitozoon cuniculi は、主な宿主であるウサギに対して日和見的に病原性を示す原虫です (マウス、ラット、モルモットに対しては無症状) 。微生物カテゴリーCに分類されますが、実験動物の感染率は非常に低いと考えられております。動物の輸出入の際、この検査項目が必要とされる場合がございます。検査法は腎臓の病理組織学的検査です。
検査項目: Klossiella spp.
対象動物種: マウス、ラット
検査方法: 病理組織学的検査
サンプル:生体 (マウス、ラット) または腎臓 (ホルマリン液浸漬)
検査費用 (税別) : 3,000円 (※)
・Klossiella spp. は、腎臓に感染する原虫です。国内での感染報告はございませんが、動物の輸出入の際、この検査項目が必要とされる場合がございます。検査法は腎臓の病理組織学的検査です。
(※) 検体が生体の場合は、剖検代として600円 /匹 (ウサギは1,000円 /匹) が追加されます。また、上記病原体検査はすべてアカデミア価格対象 (20%引き) となります。
ご不明な点がございましたらお問合わせ下さい。
今後とも変わらぬご愛顧をいただけますよう、お願い申し上げます。
謹白
平成25年 6月吉日
公益財団法人 実験動物中央研究所
ICLASモニタリングセンター